狸小路に新オープンの水族館AOAO SAPPOROに行ってきました 前編

札幌市中央区南2条西3丁目、狸小路に一面を接する大型複合商業施設 moyuk SAPPORO(モユクサッポロ) が7/20にグランドオープンします。

モユクとはアイヌ語で「タヌキ」を意味し、まさに狸小路の顔となる新施設です。

札幌市民なら以前この場所にドン・キホーテがあったのは記憶に新しいと思います。

僕はそのドン・キホーテより前のそうご電器時代に行った覚えがあり、そこで店員をしていた高校時代の同級生に偶然会った思い出があります。

その場所に新たに建つビルに都市型水族館が入ると最初聞いたときは、正直言ってあまり良い印象は抱きませんでした。

どうせ「映え」重視で、生き物にとって劣悪とまではいかなくともすごしやすい環境を与えられなく、客側にも学習の場を提供するような施設にはならないだろうと(偏見に満ちた)予想をしたからです。

「映え」重視の例
「映え」重視の例(某水族館)

 

信じられないくらい狭い水槽で飼育されていたアザラシ(現在は飼育されていません)
信じられないくらい狭い水槽で飼育されていたアザラシ(某水族館/現在は飼育されていません)

 

しかし、その後おたる水族館と飼育業務提携することが発表され、それならばと不安面はかなり解消されました。

 

moyuk SAPPOROのグランドオープンを控えた7/18にプレオープンしAOAO SAPPOROも入館できるとのことで、条件がLINE友達登録のみとかなり緩かったので僕も行ってみることにしました(入館料は別途かかります)。

AOAO SAPPOROはビルの4~6階にあり、入り口は4階になります。

当日券もありますが、混雑緩和のためWEBによる事前購入を推奨しています(事前購入しないで行くとすぐに入れない可能性もあります)。

入館料 料金A 料金B
大人|高校生以上 2200円 2000円
こども|小中学生 1100円 1000円
幼児|3歳以上 200円 200円

営業時間 10:00-22:00(最終入館21:00) ※季節によって変更する場合があります。

休館日 なし ※施設メンテナンス等により臨時休館する場合があります。

 

料金は時期によって変わるそうですが、具体的にどの時期にA、Bが適用されるのかは書かれていないようです。プレオープン時はAでした。

チケットを購入し(プレオープンは当日券のみ)、チケット売り場から入場口までは少し離れているのですが、

水の循環のラボ
水の循環のラボ

 

いきなりこんなのが出てきます。本来であれば隠すような設備を、あえて見せる演出です。なるほどそういうスタイルですか、と勝手にテンションが上がります(笑)。

 

ペンギンも含め館内の展示水槽に人工海水を供給
ペンギンも含め館内の展示水槽に人工海水を供給

 

そしてチケットを見せて入場すると、

ガラス張りの研究スペース
ガラス張りの研究スペース

 

円山動物園のは虫類・両生類館のセンターラボを彷彿とさせるスペースが出てきます。

展示生物の健康管理などを行う予備水槽や餌の調理など、いわゆるバックヤードなのでもちろんSTAFF ONLYで立ち入ることはできませんが、ガラス張りだったり一部はカウンターのような構造になっていて様子は丸見えです。

そして最初に出てくる生き物が、

ニホンウナギ
ニホンウナギ

 

ニホンウナギ
ニホンウナギ

 

ニホンウナギ
ニホンウナギ

 

いきなりのニホンウナギです。

ニホンザリガニ、キタサンショウウオ、エゾトミヨと続き、すでに「映え」重視ではないことがわかります。

キタサンショウウオ
キタサンショウウオ

 

キタサンショウウオ
キタサンショウウオ

 

キタサンショウウオ
キタサンショウウオ

 

館内には一部大きな窓があり自然光も差し込みます
館内には一部大きな窓があり自然光も差し込みます

 

ヤドカリ
ヤドカリ

 

スジアオノリを増やす実験
スジアオノリを増やす実験

 

磯焼け
磯焼け

 

 

4階のテーマは CONNECT 人と水の世界がつながる となっており、人間にとっても生き物すべてにとっても重要な水について考える空間になっています。

しかし、これはこの後も共通して言えることなのですが、いちいち詳しい解説が書かれているわけではありません。

これはなぜこうなのか、自ら考える人は考えるだろうし、考えない人は目に映ったものを見るだけで通り過ぎていく。

思考や判断はそっち(客)にまかせる、こっちはきっかけを提供するだけだ、というスタンスに感じました。

実際にそういう意識でつくられているのかはわかりません、あくまで個人の感想です。

 

他の水族館からやって来た
他の水族館からやって来た

 

4階にはこんな掲示もありました。こういうのはうれしいですね。

さて、ここで注意点をひとつ。AOAO SAPPOROは4~6階で構成されていますが、この4階の展示部分は一度5階に進むと戻ってこられない構造になっています。

気が済むまでじっくり4階を堪能してから5階にお進みください。なお5階と6階は行き来自由になっています。

(追記)

もしかしたらエレベーターを使えば戻ってこられるのかもしれません(未確認)。

 

5階のテーマは SCOPE 見えなかった世界を見つめる

LIBRARY AQUARIUM 1 観察と発見の部屋1

LIBRARY AQUARIUM 2 観察と発見の部屋2

NATURE AQUARIUM ネイチャーアクアリウム

の3部屋で構成されています。他にコワーキングスペースもあり、そこで学習や仕事をするのも自由となっています。

 

LIBRARY AQUARIUM 1
LIBRARY AQUARIUM 1

 

もさもさ
もさもさ

 

 

館長さんもお気に入りと言っていた赤いもさもさ
館長さんもお気に入りと言っていた赤いもさもさ

 

もさもさ
もさもさ

 

 

ご覧のように、このLIBRARY AQUARIUM 1では展示水槽の横に簡単な解説と、スタッフがそこから連想する本が数冊ずつ置かれています。

この本は必ずしも生物の図鑑などだけではなく、何らかの関連がありそうな本なら何でもありといった感じです。

ハナヒゲウツボの横には
ハナヒゲウツボの横には

 

インディゴ染め
インディゴ染め

 

 

円山でも飼育されているミツユビアンフューマの横には
円山でも飼育されているミツユビアンフューマの横には

 

世界魚類神話と奇界生物図鑑
世界魚類神話と奇界生物図鑑

 

 

アミメウナギの横には 

焼く
焼く

 

 

さらに水槽横だけではなく、数か所には本棚と椅子がセットで配置されています。

本棚と椅子
本棚と椅子

 

水槽が並ぶ中に突然の本棚
水槽が並ぶ中に突然の本棚

 

ジャンルは多岐
ジャンルは多岐

 

生物に関連する本だけでなく何の関係もない(と思われる)本もたくさんあり、もちろん手にとって自由に読むことができます。読書好きな人ならここだけでも一日いられそうです。

後述する6階のシロクマベーカリー&でパンとコーヒーを買ってきてここで本を読みながら食事することも可能です。

 

チリメンナガクビガメ
チリメンナガクビガメ

 

チリメンナガクビガメ
チリメンナガクビガメ

 

ピパピパ
ピパピパ

 

このLIBRARY AQUARIUM 1と2では、「もさもさ」「にょろ」「ぺったんこ」「いろいろ」と分類されており、このピパピパという変なカエルは本当にぺったんこです。ぜひ正面からご覧ください。

また、ここで紹介した写真は展示のほんの一部です。なるべく実際に見てもらいたいのであえて多くは載せていません。

キンチャクガニはもさもさ
キンチャクガニはもさもさ

 

後ろ姿なのでよくわからないけどキンチャクガニは腕にもさもさを備えているらしい、しかもそれは自前ではなくイソギンチャクを付けているのだとか
後ろ姿なのでよくわからないけどキンチャクガニは腕にもさもさを備えているらしい、しかもそれは自前ではなくイソギンチャクを付けているのだとか

 

ムーミンのニョロニョロみたいだけど分類はもさもさ

 

埋まっていないチンアナゴ

 

動きを見てるだけでも楽しいヘコアユ

 

LIBRARY AQUARIUM II
LIBRARY AQUARIUM 2

 

クロダハゼ類
クロダハゼ類

 

吸盤でくっつく
吸盤でくっつく

 

カブトガニにくっついているカブトガニ
カブトガニにくっついているカブトガニ

 

カブトガニの上を歩くカブトガニ
カブトガニの上を歩くカブトガニ

 

カブトガニがなぜ「カニ」と名前が付いているのかが初めて理解できました(分類的にはカニの仲間ではありません)。

 

 

サッポロカイギュウの復元骨格標本
サッポロカイギュウの復元骨格標本

 

サッポロカイギュウの復元骨格標本の手
サッポロカイギュウの復元骨格標本の手

 

全体的に詳しい解説などはないのですが、このサッポロカイギュウについては少しだけありました。

 

 

オオサンショウウオ
オオサンショウウオ

 

オオサンショウウオ
オオサンショウウオ

 

新さっぽろサンピアザ水族館にオオサンショウウオが来たので見に行こうと思っていたのですが、こちらで先に見られました。

これまではおびひろ動物園の動物園センターにある標本でしか見たことがありませんでした(たぶん)。

 

ネイチャーアクアリウム
ネイチャーアクアリウム

 

ネイチャーアクアリウムとは (AOAO SAPPOROホームページより引用)

「侘び、寂び」や「禅の精神」を感じさせる美しい水中景観。東京、ポルトガル(リスボン)に続き、札幌で世界3か所目の常設展示となる「ネイチャーアクアリウム」は目玉展示の一つ。水草が繁茂する美しい水中景観の中で、小さな生物たちの営みを自然の中のありのままの姿で観察することのできる展示です。4つの水景に囲まれた凛とした和の空間の中で、かけがえのない自然の大切さを実感しながら、“生きている水槽”の生態系を間近に観察することができます。

 

ここの第一印象は、なんといってもスペースが広いです。普通だったらあれこれ置いて見せたくなると思うのですが、余計なものは一切置かずに水槽だけでなく空間で演出する、そんな雰囲気です。

 

鮮やかな緑
鮮やかな緑

 

 

蓮の葉を下から見ることなんて無いですよね
蓮の葉を下から見ることなんて無いですよね

 

このネイチャーアクアリウムで個人的に一番好きだったのがこの「悠久の森」と名付けられた水槽です。

 

悠久の森
悠久の森

 

いや、水槽と言っていいのか、水は入っていません。

 

悠久の森
悠久の森

 

まだプレオープンのためか、準備が間に合っていなくて水が入っていないと思われるお客さんもいましたが、これはこれが完成形なのだと思います。

なぜならば、

 

 

一定時間おきに霧が発生するからです。水を入れてしまってはこの装置の意味がありません。

自然の森を切り取ってここに配置した、ただそれだけです、と言わんばかりの展示です。

このネイチャーアクアリウムはミリ単位で木や石などの配置が調整されており、人間が置いていないかのように見せることにこだわっています。

ところでこの「悠久の森」、自然の森なら何かしらの生物がいるはずですが、そこまでは再現していないのでしょうか。

それとも隠れていて見えないだけなのでしょうか。そこだけは気になりました。答えは何も書かれたりしていません。

 

 

後編に続く

 

札幌市AOAO SAPPORO

2023/7/18訪問

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